銘仙展に行ってきた きもの日記令和4年11月29日

きもの日記

前から行ってみたかった、さいたま市にある 埼玉県立歴史と民俗の博物館に行ってきました。

本当はもっと前に銘仙展は企画されていたのですが、コロナのせいで開催が延期になって やっと今年やることになったようです。

企画展 銘仙 大正・昭和に流行したオシャレな着物

ドキドキ。

進んでいくと、右手ではビデオが上映されています。

昭和53年の秩父銘仙のドキュメンタリーです。

銘仙とは

私も改めて聞かれると分かってなかった。銘仙のこと。

このビデオを観ると、銘仙の作る工程にびっくりすると思います。恐ろしく手間がかかってるのだ。(まあ着物全般そうなんだけども)

図案を作る人、図案から型紙を作る人、蚕を育てる人、糸を紡ぐ人、できた糸を漂白したり精錬して染める前の状態まで加工する人、型紙を使って糸を染める人、染めた糸の緯糸(経糸だけだと染めづらいため ざっくり緯糸が入ってるのでそれを抜きながら織る人(だからほぐし織と呼ばれる)

さらに織り方によっては、緯糸も絣染めや型紙染めをしてから織ることもある。

考えただけで気が遠くなる。

そんなに手が込んだものを、今まで何気なく纏っていたんだなあ…。職人さんってすごい。

ビデオの中の型染めの職人さんがどんぐりみたいな帽子で可愛かった。

型紙ももちろん一枚ではない。

使う色数だけもちろんあるし、複雑な柄になればなるほどたくさん使う。

型紙を作る職人さんもすごい。結構細かいデザインもある。考えただけでくらくらする。

また、当時生糸の輸出が盛んだったけれど 輸出に向かないくず糸を使って作れたことや

量産化しやすかったこと、化学染料の普及、家庭で織るものから工場化していったこと、デザインの豊富さ、デパートや雑誌での販売促進など いろんな要素が相まって、広く一般に銘仙は普及していったようだ。

産地ごとの特徴

秩父銘仙

ほぐし織が特徴。

模様を彫った型紙を使って経糸に模様を染める技法。緯糸は単色。

なので、織り上がった生地は縦方向に自然な糸のズレが見られる。

銘仙によくある、玉虫色のものは秩父銘仙ということかな。

緯糸に補色を使うことであの玉虫色になるのかー。と納得。

桐生銘仙

絣柄と小柄が特徴。 

お召しや織帯が主力商品だったので、桐生銘仙としての宣伝には力入れてなかったらしい。というのはなんか面白い。

改めて図録を読んでみたけど、桐生についてはあまり触れられてない。

伊勢崎と足利のサポート役?(かも?)っていうのも面白いなー。

足利銘仙

半併用絣。型で染めた経糸に、括り絣などの方法で染め分けた緯糸を組み合わせて織り上げる方法。

横に絣のシャシャシャって残像のような模様が入る。

ほぐし織×伝統的な絣技法。

緯糸が単純な絣なので、模様合わせにそこまで注意せずに織れる。

足利では足踏み織機を使って低価格の商品を大量生産した。

あと足利はプロモーション上手。有名画家によるポスター、婦人雑誌などいろんな媒体でPR。

前に、販促のためのレコードもあったっていう話を何かで読んだけど、それももしかしたら足利だったのかなあ…。

伊勢崎銘仙

併用絣。

経糸も緯糸も型染めするので、大量生産が困難。ゆえに、やや高値。

現代でもやはり点数が少ないため高値になりがちらしい。(麻のハ堂あみこさん談)

どっちにも型染めするので、模様が鮮明。そして多彩な表現。

ザ・銘仙って感じよねえー。華やか!!

でも、たてもよこも型染めって、気が狂いそうな作業だよねえ…。

八王子銘仙

甲比丹織。これでカピタンって読むのか。

カピタンとはオランダ船の船長のこと。長崎出島のオランダ商館長の意味もある。

オランダの船長が持ってきた織物に由来なのね。

昭和20年代初めに八王子で開発された。

経糸を型染めして、緯糸には単色の糸。

ほぐし織と同じだけど、織り方が違ってて

ドビー織機を使って大小の市松模様などの地紋があるのが特徴。

私写真撮ってなかったんだな。

この写真は銘仙展の図録より。

こういう銘仙あるよね!あれは八王子銘仙だったのかー。

こうやって、ああ、あれは○○銘仙だったのか!と答え合わせが出来るのがとても楽しかった。

会場の写真

どれもこれもかわいい。

見てると、これは誰が好きそう。とか着てそう。とか友達の顔が浮かぶ。

これとかほんとに。笑

麻の葉と矢羽根。

色遣いも狂気があるよねえー。そこがすき。

養蚕についてもかなり詳しく解説されていて勉強になった。

どこまでも銘仙。

この辺、きもの展でも見たなー。可愛かったので印象深い。

右端はヨット、左はテニスラケット柄。

この折り鶴、可愛くてさー。

子供用だけど、けっこう大きめだしさー、私着れると思うんだよね。(だから何)

左の鶴は婚礼用だってー!

昔は結婚式、何日もかけてやって、お色直しも何度もやって、白無垢、黒振袖、留袖とかいろいろ着て、最後に普段着になるみたいで、その時に着用したのでは?と。

感想

雑誌など、資料によっては撮影不可だったので脳に刻みつけようと思って

展示の古い婦人雑誌を熟読してたんだけど。

文学作品の登場人物に着せたい着物 みたいな特集ページが印象深かったなー。

銘仙は着物にタイトルがつけられることが多いんですね。で、そのタイトルがどれもこれも秀逸で。

その後の常設展も内容濃かったから上書きされちゃって、メモを取ってなかったからうろ覚えなんですが

超美人 スーパービューティフル とルビが振ってあったりとかね。タイトルがとても良かったなー。飛行船ツェッペリン号にちなんだタイトルの着物もあった。時代だねえ。

改めて、普段何気なく着用してた銘仙たちが こんなに手をかけて作られてることに感動したし

当時の盛り上がりぶりが雑誌の広告などから伝わってきて

タイムスリップしたくなった。

当時のデパートとか、作ってる産地に行ってみたいよ。

図録もとても良くて、買って良かった。

この文章も図録を参考に間違えないように確認しながらまとめました。

私が行ったのは29日。3日に行った人からは売り切れだったよー。と聞いたので、もう1冊くらい買っておけば良かったなー。

常設展のこと

歴史と民俗の博物館、常設展もすごかった。

どれ、せっかくだしついでに見ておくか。くらいだったんだけど、最初からやられた。

縄文時代から現代まで、濃密に展示されてます。

しかも所々にボランティアの解説員の方がいらっしゃるので詳しいお話も聞ける!(私は声をかけれなかったけど、他の人が質問してて それを耳をそばだててました。笑)

土偶たち。

土器の皆さん。

急須(やかん?土瓶?)みたいなやつとか今も使えそう。笑

ハニワたち。

もちろん、ひんべえも。

地蔵塚古墳??!行かなきゃ!!

らくがきでは???笑

この絵になにか意味あったのかなあ。ううむ。

わかめ県茨城。

甲冑。

やば!

なんだこいつー。

しかも状態良さげ。この人戦ってないんだろーなー。

近代コーナーも興味深かった。

これ、うちにある。

昭和家電。

だるま。

この辺で展示終わりかな?と思ったらまだまだあった。

こっちでも養蚕について展示があった。オキヌサマ。

養蚕のことわざもあるのかー。

嫁を貰った年に蚕が当ると、あとの蚕はみな当る

へー。そのお嫁さん、福の神だよねえ。大切にしてもらえたのかなー??

外も昭和。スバル360。かわいい!

レトロ看板もあります。

いやーほんとに盛りだくさん。

1日遊べます。

埼玉県歴史と民俗の博物館

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埼玉県立歴史と民俗の博物館のホームページです。

今リンク作ろうと思ってホームページ見てびっくりした!(12/5)

大規模修繕のため、今日から来年の秋まで全館休館ですって!!

展示内容も変わるんですかねー??また秋以降に遊びに行きたいです♪

隣の大宮公園も面白そうでした。1日かけてゆっくり遊びたいなー。

この日のきもの

やっぱり銘仙着るでしょ。と。

着物は麻のハ堂さんにて。ほんとはアンサンブルです。

羽織も麻のハ堂。これは銘仙じゃないけどね。

半衿は五月堂さん。

古墳柄で行ってよかったー!ぴったりだった。笑

次の日は同じ羽織を着てましたよ。

この日はラジオ室。

銘仙展について熱く語っております。よかったら合わせてどうぞ。

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